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外用薬による薄毛・AGAの治療

外用薬による薄毛・AGAの治療

外用薬のうち日本でよく処方される、あるいは薬局で買えるものは
・ミノキシジル外用薬
・塩化カルプロニウム
・t-フラバノン
・アデノシン
・サイトプレン・ペンタデカン
・ケトコナゾール
などがあります。
このうち、世界的にみてエビデンスが十分あり、最も良く使われるのがミノキシジルです。

ミノキシジル外用薬

薄毛治療における外用薬はミノキシジル外用薬が最も重要な薬です。
ミノキシジルはもともと降圧剤として開発された薬ですが、それを飲んでいた患者に多毛が見られたことから、薄毛治療薬としての道が開かれました。
余談ですが、内服薬としては副作用が多く、現在はあまり使われていません。ミノキシジル外用薬は毛包周囲の血流を改善させ、酸素および栄養状態を高めます。またミノキシジル外用薬はIGF、HGF、VEFG、FGF−7という成長因子の産生を促進することで、毛乳頭細胞を活性化すると言われています。

Kathrin Hillmannらによる報告(A Single-Centre, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Clinical Trial to Investigate the Efficacy and Safety of Minoxidil Topical Foam in Frontotemporal and Vertex Androgenetic Alopecia in Men)では、ミノキシジルの4ヶ月後のデータでは、頭頂部の1cm平方あたりの密度が208.8±35.7本から221.7±48.7本、前頭部生え際は208.3±48.5本から221.4±47.6本、6ヶ月間後には頭頂部の1cm平方あたりの密度が217.6±37.1本、前頭部生え際の密度は215.0±51.2本になっています。

治療前 4ヶ月後 6ヶ月後
頭頂部 208.8±35.7 221.7±48.7 217.6±37.1
前頂部 208.3±48.5 221.4±47.6 215.0±51.2

これを見るとミノキシジル外用薬だけだと、AGAの治療効果は4ヶ月後くらいにピークが来てその後は減少に転じている可能性があります。
また、6ヶ月後のデータでは、毛の密度も3-4%程度の増加に留まりますので、増えるとはいえ、十分に整容的に満足いく結果とは言い難いでしょう。付け薬による治療はこのような難しさがあります。

ミノキシジル外用薬は休毛期にある毛包を成長初期に導きますので、初期脱毛と言って一時的に抜け毛が増える場合があります。これは枯葉が落ちて新しい葉が生えてくるというイメージで一時的な現象で、むしろ薬が効いているとも言えますので心配は要りません。

日本国内において男性型脱毛の場合は1%ミノキシジル外用薬と5%ミノキシジル外用薬との比較試験が行われ、5%の方が有意に発毛を増加させることが示されております。

女性型脱毛に対しては1、2、5%のミノキシジル使用で効果ありとのデータがありますが、5%では副作用が増える可能性が高く、女性は1、2%のどちらかにしておくと無難でしょう。日本国内においては、1%エビデンスしかないので、国内であれば1%を推奨されることが多いのですが、2%のものを使用しても構いません。

まとめますと、ミノキシジル外用薬は、男性では5%、女性は1%もしくは2%のものを使用することが推奨されています。

5%ミノキシジルは副作用・頭皮の接触皮膚炎(かぶれ)、脂漏性皮膚炎、かゆみ、熱さ、ふけ、毛嚢炎、ヒリヒリなどの局所的な刺激作用が6−14%報告されています。また、薬剤が顔に垂れてくることが原因だと思いますが、女性の顔の多毛が海外で報告されています。
刺激作用が強い場合は、2%もしくは1%に変更すれば刺激作用は減少することが多いです。
稀に心血管系の副作用が報告されていますが、発生率にプラセボ(偽薬)をつけた人との有意差はなく、外用ミノキシジルの影響は考えにくいでしょう。ミノキシジルを外用しても、血管に入る量は極めて少ないためです。ただし念の為、心血管系に重大な疾患を持つ方は使用を避けたほうがいいでしょう。

塩化カルプロニウム

フロジンという名前で処方されることの多い外用薬です。円形脱毛症やそのほかの脱毛症に対して保険適応があります。毛包周囲の血行促進作用があります。AGAに対しては小規模な比較試験や症例集積研究(エビデンスレベルは低い)があるだけで、十分な効果は証明されていません。効果は、ミノキシジル外用薬に劣ります。薄毛に対して、保険適応となるという経済的なメリットだけで、それ以外のメリットはほとんどありません。

t-フラバノン

t-フラバノンはサクセスという商品名で販売されています。毛包の成長期を延長する事で薄毛に効果があるとされています。TGF-β2という毛の発育を妨げるサイトカインを減少させることで、毛包の成長期を延長させるのではないかと考えられています。
AGAに対していくつかの効果ありとのエビデンスがあります。データを見ると、二重盲検試験は1件しかなく、プラセボ郡よりもよりもt-フラバノンを塗布した群で「やや改善した」以上の改善が見られた人の割合が多かったと報告されています。そのほかは、日本語による非ランダム化比較試験(エビデンスレベルが低いとされている)が数件行われているだけで、エビデンスとして十分とは言えないものが多いです。
重篤な副作用もないので、気になる方はトライしてもいいでしょうがt-フラバノンだけで十分に印象を改善させることはできません。

アデノシン

アデノゲンという商品名で販売されています。アデノシンは、毛乳頭に働きFGF-7やVEGF産生を促すことで毛母細胞を増殖させます。AGA、女性型脱毛症に対して数件のランダム化比較試験で効果ありとの報告があります。しかし、論文の内容をよく見ると、十分なエビデンスとは言い難いように感じます。
Faghihi Gらのデータでは、AGAの患者に対し、ミノキシジル5%とアデノシンのランダム化比較試験が行われました。6ヶ月の治験で 完全回復率 ミノキシジル 0%(0名/42名) アデノシン 0%(0名/53名)
部分回復率 ミノキジル 2.4%(1名/42名) アデノシン 1.7%(1名/53
とほとんど効いていません。また髪の毛が平均何本増えたかも明記されていません。

Tokuro IWABUCHIらによるとアデノシンは、プラセボと比べると毛の濃度、太い毛の割合は改善させるが、全体の印象は変わらなかったとしています。(これはアデノシンだけでなくミノキシジルなどもそうです)。
重篤な副作用もないので、気になる方はトライしてもいいでしょうが、これだけで十分な改善を期待することはできません。

サイトプレン・ペンタデカン

毛包への栄養補給を目的とした薬剤です。ペンタデカンは発毛に必要なエフリン、BNPの産生を促します。ペンタデカンは髪の主要成分であるケラチンの合成に必要なエネルギーを供給します。かなり弱いエビデンスですが、AGAに効果を示唆するエビデンスがあります。しかしいずれも日本語で書かれた古い論文ですので、エビデンスレベルは相当低いと考えます。現時点であえてこの育毛剤を選ぶメリットを感じません。

ケトコナゾール

元々は抗真菌薬として開発された薬ですが、局所的に男性ホルモンを抑制することが知られておりAGAの治療薬として可能性が検討されましたが、現在きちんとランダム化された治験で有効性を示すエビデンスがありません。2%ケトコナゾールの外用薬によるAGAに対する効果が、エビデンスの低いデータで示されています。ただし、効かないというエビデンスもあります。
ケトコナゾール自体、脂漏性皮膚炎という頭皮にしばしばみられる疾患のため処方されることが多いのですが(日本全体で言えば莫大な処方量になると思います)、それでAGAや女性型脱毛症が改善するのは臨床的に経験したこともありません。 大きな副作用もないことから、外用を検討してもいいでしょうが、あえて薄毛治療にケトコナゾールを選ぶメリットはほとんどないでしょう。

外用薬のまとめ

外用薬でエビデンスレベルが最も高いものはミノキシジルで、他のものは現時点では十分なエビデンスはないと言えるでしょう。
外用薬は手軽でかぶれを除けば副作用が少なく、優れた治療法なのですが
・プラセボと比べると髪が太く、濃くなり、本数が増えるものもある。
・全体的な見た目の印象を改善させることには力不足
・それゆえ軽症の人しか効果が出にくい。
・効果は数ヶ月〜半ヶ月くらいで頭打ちになり、その後は再び減少に転じることが多い(長期的効果に乏しい)
・薬剤によってはデータにより効果がバラバラであまり効果が出ていないものもある。
外用薬は決められた量を決められたタイミングできっちりと3ヶ月〜半年以上つけ続けないと効果は出ません。また、ミノキシジルでさえ、髪を数%〜10%程度増やすのがせいぜいであり、外用薬だけで薄毛を十分治療することは困難です。特に、ミノキシジルの場合、使用初期は抜け毛が増えることが多いので、我慢して使用し続けることが意外と難しく、早めに脱落してしまうかたが多いです。またミノキシジルだけでは効果をいつまでも効果を持続させ続けることは困難です。

上記より、外用薬のみの単独治療は、薄毛が軽度の患者様には適していますが、中程度以上進行した例では外用薬だけによる治療は難しく、内服や、HARG治療などと併用するようにオススメしたいと思います。

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