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5αリダクターゼとジヒドロテストステロンの関係性は?

「5αリダクターゼ」とはジヒドロテストステロンを作るのに必要な酵素のことです。この酵素の働きとAGA(男性型脱毛症)とには密接な関係があります。そのためAGAについて知り、そして治療をしていくには5αリダクターゼの働きについて最低限は知っておく必要があるでしょう。そこでここでは、5αリダクターゼについて働きやAGAとの関係性について詳しく解説してきます。

5αリダクターゼとは酵素の一種

5αリダクターゼは5α還元酵素とも呼ばれる酵素の一種です。男性ホルモンを作るために必要な酵素として知られています。テストステロンに5αリダクターゼが働くと、より働きの強いジヒドロテストステロン(DHT)へと変化し、これがAGAを進行させる原因となるのです。そのため5αリダクターゼとAGAには深い関係があると言えます。

5αリダクターゼには3つの種類がある

5αリダクターゼとひとくちに言うことも多いのですが、実は5αリダクターゼはさらにⅠ型5αリダクターゼ、Ⅱ型5αリダクターゼ、Ⅲ型5αリダクターゼとの3つにわけることができます。AGAに関係しているのは主にⅠ型5αリダクターゼ、Ⅱ型5αリダクターゼです。どちらも5αリダクターゼであることに変わりはありませんが、それぞれ少し違った働きを持っていることが特徴です。Ⅱ型5αリダクターゼの方がより強くAGA関係していると言われています。

〈Ⅰ型5αリダクターゼ〉

Ⅰ型の5αリダクターゼは主に毛乳頭細胞や皮脂腺に存在しています。とくに側頭部や後頭部に多く存在していることが特徴です。毛乳頭細胞は毛の根元に囲まれるように存在する細胞で、毛母細胞に指令を与え発毛サイクルをコントロールしています。男性ホルモンの影響を受けやすい細胞です。

〈Ⅱ型5αリダクターゼ〉

Ⅱ型の5αリダクターゼはⅠ型とは違い、前頭部や頭頂部にある毛髪の毛乳頭細胞に存在しています。そのためⅡ型5αリダクターゼがテストステロンをジヒドロテストステロンに変換させると、それが毛乳頭細胞に作用し発毛を阻害します。とくに前頭部や頭頂部で脱毛の症状が見られるのが特徴です。

AGAといえば額の生え際や頭頂部の薄毛が気になることが多いですよね。つまりAGAを進行させるのにより深く関係しているのはⅠ型5αリダクターゼではなく、前頭部や頭頂部に多く存在しているⅡ型の5αリダクターゼであると言えます。

5αリダクターゼの分泌量は体質によって違う

AGAを進行させるジヒドロテストステロンを作る5αリダクターゼ。この5αリダクターゼの量が多ければAGAになりやすい、少なければAGAになりにくいと言えます。もちろんAGAのなりやすさには他の要因も絡んでいますが、5αリダクターゼの量がAGAと関係しているのは事実です。このAGAの量は、遺伝によって決まります。男性ホルモンはすべての男性の体で分泌されているにもかかわらず、AGAになる方とならない方がいるのは5αリダクターゼの量が関係しているのです。つまり遺伝で5αリダクターゼが生成されやすい体質の方はAGAにもなりやすいと言えます。

AGAのなりやすさは5αリダクターゼだけでは決まらない

ジヒドロテストステロンが体内で効果を発揮するためには、アンドロゲンレセプターという受容体にジヒドロテストステロンがくっつかなければなりません。たとえジヒドロテストステロンが多く生成されたとしても、このアンドロゲンレセプターに結合しない限りは体内で作用を発揮しない仕組みになっています。ということは、アンドロゲンレセプターの数がもともと多い方、そしてアンドロゲンレセプターとジヒドロテストステロンがくっつきやすい方はよりAGAになりやすいと言えるのです。

5αリダクターゼの働きと関連疾患

5αリダクターゼは男性ホルモンの一種であるテストステロンをジヒドロテストステロンに変換する酵素です。テストステロンは精巣で分泌されるホルモンで、5αリダクターゼが働くことでより効果の強いジヒドロテストステロンへと変換されます。5αリダクターゼは誰にでもある酵素で、決してAGAの方しか持っていないものではありません。ただし先にご説明したように、5αリダクターゼの量は体質によって異なります。

ジヒドロテストステロンの生成を促すことでAGAを進行させる

AGAで脱毛している部位に高濃度でジヒドロテストステロンが見られたことにより、ジヒドロテストステロンがAGAの原因ではないかと考えられるようになりました。5αリダクターゼによって作られたジヒドロテストステロンが、毛髪の成長を妨げるように働いてしまうのです。

前立腺肥大症の原因になる

5αリダクターゼが直接前立腺肥大症の原因となるわけではありませんが、5αリダクターゼによって作られるジヒドロテストステロンが前立腺肥大症に関係していることがわかっています。前立腺肥大症とはその名の通り、前立腺の大きさが肥大してしまう疾患のことです。男性の尿道を取り囲むように前立腺は存在しており、前立腺が肥大することで尿道が圧迫されてしまいます。ジヒドロテストステロンが前立腺の細胞を増殖させることで、肥大が起きてしまうのです。

男性の体の発育にも関係している

5αリダクターゼによって作られるジヒドロテストステロンがAGAを促進してしまうことから、ジヒドロテストステロンは悪者であるかのような印象を持っている方も多いかもしれません。しかしジヒドロテストステロンがなければ男性の健康な体は作られないのです。ジヒドロテストステロンは男性の体を男性らしく作り上げる働きも持っています。

5αリダクターゼとジヒドロテストステロンを薬に頼らずに抑える方法

テストステロンをより強力な作用を持つジヒドロテストステロンに変換するのに必要な5αリダクターゼ。AGAの進行を食い止めたいのなら、5αリダクターゼの働きを抑えてあげる必要があります。5αリダクターゼの働きを抑えるお薬はいろいろとありますが、日頃の生活でどうにか5αリダクターゼを抑制することはできるのでしょうか。

亜鉛が髪の毛にいいらしいという話しを聞いたことがある方は多いでしょう。亜鉛はミネラルの一種であり、皮膚の健康を保ったり、さまざまな細胞の新陳代謝に関わったりする働きもあることから、美肌を目指している方にも積極的に摂られている成分です。実はこの亜鉛が不足すると、亜鉛不足による脱毛が起きることがわかっています。亜鉛はたんぱく質を合成する働きにも関与しているので、亜鉛が不足するとたんぱく質でできている毛髪にも影響が出てしまうのです。亜鉛不足で起きている脱毛の場合、多くは後頭部から全体へと脱毛が広がっていきます。亜鉛欠乏症による脱毛症とAGAは臨床像も病態も全く別の疾患です。
これだけ聞いていると、亜鉛はAGAとまったく関係ないような気もしてきますよね。亜鉛不足はたんぱく質がうまく合成されないことで脱毛が起こり、AGAはジヒドロテストステロンが原因で起こります。

しかし亜鉛とAGAはまったくの無関係ではないかもしれません。ある研究によると、亜鉛が5αリダクターゼの働きを抑えたという結果も出ています。ただしこれは人に直接亜鉛を摂取させたときのデータではなく、あくまで実験上での結果です。そのため亜鉛を摂取したからといって、必ずしも体の中で5αリダクターゼの働きが阻害されるわけではありません。そのため亜鉛がAGAに効果があるとまでは言えないのですが、気になる方は少しサプリメントなどで補充しても良いかもしれません。

5αリダクターゼ(5α還元酵素)を抑制することでAGAの治療ができる

亜鉛はドラッグストアでも購入できるので、お手軽にAGA対策ができるアイテムではあるものの、本当に効くのかどうかはまだ不明な点も多いです。そうなるとやはりAGAの治療をする上で確実なのは、お薬となります。薬を使って5αリダクターゼの働きを抑えてしまえば、AGAを促進させるジヒドロテストステロンも産生されなくなるので症状が進行しにくくなるのです。

プロペシア(フィナステリド)

プロペシアはAGAの代表的な治療薬です。フィナステリドという成分を使ったお薬で、5αリダクターゼの働きを抑えることでAGAの進行を食い止めます。5αリダクターゼにはⅠ型とⅡ型の2種類あることは先にお話しましたが、プロペシアはこのうちⅡ型の5αリダクターゼを阻害することで効果を発揮するお薬です。飲みはじめておよそ6か月で効果を実感できます。

ザガーロ(デュタステリド)

ザガーロは比較的新しいAGAの治療薬です。デュタステリドを使ったお薬で、こちらもプロペシアと同じように5αリダクターゼを阻害しAGAの進行を抑えてあげます。ただしプロペシアとまったく同じお薬というわけではありません。ザガーロはⅠ型とⅡ型両方の5αリダクターゼを阻害するため、プロペシアよりも効果が高いことです。ただし効果が出やすい分、プロペシアよりも勃起不全などの副作用が起きやすくなっています。

ミノキシジルも代表的な治療薬

AGAの治療薬としてミノキシジルの名前を聞いたことがある方も多いはず。処方せんがなくてもドラッグストアで手軽にミノキシジルを使った外用発毛剤を購入できることから、「病院にかかる前にまずは使ってみよう」という方も多いお薬です。ミノキシジルはプロペシアやザガーロとは違い、5αリダクターゼには影響しません。毛包の血流を良くし、さらに毛髪サイクルを正常に戻していくことで髪の毛を生やすものです。プロペシアやザガーロがAGAの進行を抑える守りのお薬ならば、ミノキシジルは攻めのお薬という位置づけになります。5αリダクターゼを阻害するプロペシアやザガーロと合わせて、ミノキシジルを使ってAGAを治療していく方法も有名です。

まとめ

5αリダクターゼは男性ホルモンであるテストステロンを、ジヒドロテストステロンに変換する働きのある酵素です。生成されたジヒドロテストステロンが毛髪を生えないように働くため、AGAが進行します。5αリダクターゼには主にⅠ型とⅡ型の2種類があり、とくにAGAと関係しているのはⅡ型の5αリダクターゼです。とはいえⅠ型もまったく脱毛に関係していないことはないので、AGAとの関わりはゼロではありません。

AGAの進行を止めるにはジヒドロテストステロンを生成させる5αリダクターゼの働きを止めてあげることが大切です。プロペシアやザガーロが5αリダクターゼを阻害するお薬として一般に使われています。AGAと5αリダクターゼは切っても切り離せない関係なのです。

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