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AGAは母方から遺伝する?解説します

母方の父親が薄毛だとハゲになりやすいらしい、という話を聞いたことがないでしょうか。薄毛の遺伝子は母方から遺伝するから、母方の父親が薄毛だと覚悟しておいたほうが良いと言われることもあります。

逆に父方は薄毛だけど、母方が薄毛ではないから自分は大丈夫と思われている方もいるかもしれません。ここでは男性が薄毛になる原因のほとんどを占めるAGAが本当に母方から遺伝するのか、AGAの遺伝様式をもとに解説します。

AGAのなりやすさを決めるポイント

AGAは男性型脱毛症とも言われており、男性が薄毛になる原因の8割はこのAGAが占めていると言われています。ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンが髪の毛の成長を妨げることで脱毛が進むものです。

5αリダクターゼの活性が高い

ジヒドロテストステロンは、テストステロンというまた別の男性ホルモンに5αリダクターゼと呼ばれる酵素が働くことで作られます。5αリダクターゼの量が多かったり働きが活発だったりすると、ジヒドロテストステロンが作られやすくなるため、AGAになりやすいと考えられています。

アンドロゲンレセプターの感受性が高い

5αリダクターゼによって作られたジヒドロテストステロンは、アンドロゲンレセプターと呼ばれる受容体に結合することではじめて働きを発揮することが特徴です。アンドロゲンレセプターにジヒドロテストステロンが結合しやすい方は、AGAを発症しやすいと言われています。

AGAが母方から遺伝すると言われているワケ

母方から薄毛の遺伝子が引き継がれると言われている理由について、一緒に確認していきましょう。

AGAのなりやすさはアンドロゲンレセプター遺伝子の「多型」が関係している

人口の1%以上の頻度で存在している遺伝情報の違いを、遺伝子の多型といい、この遺伝子情報の違いが体質として個々に現れていると考えられています。

AGAのなりやすさを決めるものとして、アンドロゲンレセプター遺伝子があります。このアンドロゲンレセプター遺伝子は、人によってわずかに遺伝子情報が異なることが分かっており、このわずかな違いがAGAの発症のしやすさに関係しているのです。

遺伝子情報の違いによって、アンドロゲンレセプターの感受性が変化します。感受性が高くなればジヒドロテストステロンと結合しやすくなるので、AGAを発症しやすくなるわけです。

アンドロゲンレセプター遺伝子はX染色体上に存在する

アンドロゲンレセプター遺伝子は、X染色体上に存在することが分かっています。染色体とは、さまざまな遺伝子情報が乗っかった構造のことです。

1つの細胞に染色体は46本存在し、そのうち44本は男女ともに差が見られない常染色体、残りの2本は性別の決定に関わっている性染色体と呼ばれています。

AGAと深い関わりがあるのは、性染色体のほうです。性染色体にはX染色体とY染色体の2種類があり、女性はX染色体を2本、男性はX染色体とY染色体を1本ずつ持っています。

X染色体の情報は母親からしか引き継がれない

遺伝について詳しい方ならすでにお気づきかもしれません。アンドロゲンレセプター遺伝子がX染色体上にあるということは、つまり母方からしか遺伝子が受け継がれないことを意味しています。

男性はX染色体とY染色体、女性はX染色体を持っていることに注目しましょう。染色体は男性と女性から1本ずつ受け継ぐものです。女性はX染色体しかもっていないので、男性からX染色体が受け継がれるのか、それともY染色体が受け継がれるのかによって子供の性別が決まります。

男の子が生まれる場合、女性からX染色体、男性からY染色体を引き継ぐことになるのはお分かりでしょうか。必然的にX染色体は女性からしか受け継がれないのです。アンドロゲンレセプター遺伝子はX染色体上にあることから、AGAに関係する遺伝子は女性からしか遺伝しないことが分かります。

そのためAGAは、母方から遺伝すると言われているのです。

父方からAGAが遺伝する可能性もある

アンドロゲンレセプター遺伝子はX染色体上にあるため、一般的にはAGAの遺伝子は母方から遺伝すると言われています。しかし実は、アンドロゲンレセプター遺伝子とはまた別の遺伝子がAGAに関わっていることも分かっているのです。

それが「17q21」や「20p11」などの遺伝子です。これらの遺伝子は、アンドロゲンレセプター遺伝子のように性染色体に存在するものではなく、誰でも持っている常染色体に存在しています。常染色体は父親と母親の両方から情報を受け継ぐため、父方から遺伝子を受け継ぐ可能性もあるのです。

そのためAGAの遺伝子は、必ず母方からしか遺伝しないというわけではありません。

AGAが遺伝しても必ず薄毛になるとは限らない

ここまでお読みの方の中には「母方か父方に薄毛の人がいたら、自分も将来は薄毛になるのだろう」と思われている方もいるでしょう。しかし、AGAの遺伝子を受け継いでいるからといって、100%の確率でAGAを発症するわけではありません。

遺伝子の活性が弱ければAGAの症状は出にくい

アンドロゲンレセプター遺伝子や17q21、20p11などはあくまでも「AGAを発症しやすい遺伝子」であり「AGAを発症する遺伝子」ではありません。それぞれの遺伝子を受け継いだとしても、遺伝子の活性が弱ければAGAは発症しないのです。

逆に受け継いだ遺伝子の活性が強いと、AGAを発症しやすくなります。将来、薄毛になりやすいかどうかを心配して遺伝子検査をされる方もいますが、AGAと関係のある遺伝子があるからといって、必ず発症するとは限らないです。

AGAを発症する原因は完全には解明されていない

ここまでAGAと遺伝についてお話をしてきましたが、実はなぜAGAを発症するのかについては、まだ不明な部分も多くあります。AGAと関係のある遺伝子をもっているからといって必ず発症するとも限りませんし、遺伝子がなくても発症するケースもあるのです。

遺伝子の他には、食生活や睡眠時間、運動習慣などの生活習慣も関係しているのではないかと考えられています。AGAはさまざまな要因が重なって発症するため、現段階では原因を1つに絞るのはとても難しいのです。

AGAは早期治療が大切

「髪の毛のボリュームが少なくなってきた気がする」「抜け毛が近頃増えてきた」と感じたら、サプリメントや育毛剤などを使用するのではなく早めに治療を開始することが大切です。

治療が遅れると効果が出にくい

AGAの治療は、治療開始が遅くなればなるほど効果が出にくいと言われています。髪の毛は成長期→退行期→休止期という流れでヘアサイクルを回ることにより、生えたり抜けたりを繰り返すことが特徴です。しかし、ヘアサイクルには寿命があります。一定のサイクルを回ると、それ以上は髪の毛が成長しなくなるのです。

AGAを発症すると成長期の期間が極端に短くなるため、通常よりも早くヘアサイクルが1周してしまいます。AGAを治療せずに放っておくと、それだけヘアサイクルが進むスピードが速くなるため、髪の毛の寿命が短くなってしまうのです。

寿命を迎えた場合、何をしても髪の毛は生えてきません。そのため早めに治療を開始しないと思うような効果が出なくなってしまいます。

医学的根拠のある飲み薬やHARG療法で治療する

髪の毛に良いとされる商品はたくさんありますが、医学的根拠があるのはフィナステリドやデュタステリドなどの飲み薬、ミノキシジルの発毛剤、そしてHARG療法のみです。育毛サプリや育毛剤などを使っても髪の毛をフサフサに戻すことはできません。

せっかく治療を開始したのに効果のないものを使ってもお金と時間をムダにしてしまいますので、治療を始める際は必ずクリニックを受診しましょう。

まとめ

今回はAGAが母方から遺伝するという話について着目しました。アンドロゲンレセプター遺伝子はX染色体上にしか存在しないため、必ず母方から遺伝子を受け継ぎます。しかし17q21や20p11などのように父方から受け継ぐ可能性のある遺伝子もあるため、母方からしか遺伝子ないと言えません。また遺伝子だけがAGAの発症に関わっているわけでもありません。薄毛は治療が遅れると効果が出にくくなりますので、少しでも気になり始めたらクリニックへ早めにご相談ください。

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