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キャピキシルの育毛効果は?

「副作用がほとんどないのに、ミノキシジルよりもよく効くらしい」
「キャピキシルは新しい育毛剤だ」

キャピキシルの効果について調べていると、効果的な医薬品のように記載されている情報がいくつか見つかります。
ミノキシジルやフィナステリドといった一般的にAGAに使用される治療薬と比べると、キャピキシルはまだまだ情報が少ないです。

そこで今回はキャピキシルの効果や副作用について詳しく解説していきます。

キャピキシルはカナダで開発された育毛成分

AGAの患者さんは日本全国に1,200万人もいると言われています。グラクソ・スミスクラインの調査によると、薄毛に悩んで医療機関を受診する方は1日に56,000人 もいるそうです。
それだけ高い関心を集めているAGA治療の世界に、新しい成分として姿を現したのがキャピキシルでした。

キャピキシルの販売会社は「Lucas Meyer Cosmetics」

「Lucas Meyer Cosmetics」はカナダで化粧品をメインに販売している企業です。キャピキシルのような育毛剤からホワイトニング、健康食品などさまざまなものを販売しています。

キャピキシルってそもそも何?

キャピキシルは新しい育毛成分として開発されたものです。ローション剤として売られており、頭皮に塗って使用します。「アセチルテトラペプチド-3(Acetyl Tetrapeptide-3)」と「アカツメクサ花エキス(Trifolium Pratense (Clover) Flower Extract)」の2種類の成分から作られました。

アカツメクサはムラサキツメクサや赤クローバー、トリフォリウム・プラテンセとも呼ばれているマメ科の植物です。
アセチルテトラペプチド-3もアカツメクサ花エキスも、皮膚を保護したりコンディショニングを整えたりするために化粧品へ使用されている成分として知られています。

2種類の成分を配合したキャピキシルは、あくまで育毛成分として使用されているものであり発毛成分としては扱われていません。つまり医薬品ではないということです。

キャピキシルの育毛効果

キャピキシルの情報をネットで探していると、「ミノキシジルの3倍も効果がある」といった情報をいくつか見つけました。
医薬品として扱われていないキャピキシルに、本当にそのような効果があるのでしょうか。Lucas Meyer Cosmetics社が公表している「Technical File 」に基づいて解説していきます。

「Lucas Meyer Cosmetics」のサイトに記載されている効果

販売会社が公表している効果についてまずは見ていきましょう。サイトにはこのように記載されています。

・抜け毛を減らす
・髪の毛の成長を促す
・毛包の固定を促す
・頭皮の炎症を軽減する

これらの記載を見る限り、キャピキシルには育毛に大きな影響を与えそうな印象を持てます。

キャピキシルが育毛にどう働きかけるか

キャピキシルは、脱毛の流れをストップさせるように働きかけます。AGAはジヒドロテストステロン(DHT)が毛髪の成長を妨げることで起こるものです。
テストステロンに5αリダクターゼ(5α還元酵素)が働くことによってジヒドロテストステロンが作られ、これがアンドロゲンレセプターに結合すると毛髪に影響が出ます。

日本ではすでに治療薬として定着しているフィナステリドやデュタステリドは、5αリダクターゼを阻害してジヒドロテストステロンの生成を抑えるものです。
キャピキシルも同様に5αリダクターゼを阻害する働きがあるとされています。さらにはジヒドロテストステロンの生成を阻害して脱毛を抑制するだけでなく、毛髪の成長を促進するとの記載もありました。

実験でわかったキャピキシルの効果

キャピキシルに使用されているアセチルテトラペプチド-3がコラーゲン合成にどう影響するかを調べたデータがあったのでご紹介します。
アセチルテトラペプチド-3によってコラーゲン量の指標となるヒドロキシプロリンの量がどれだけ増えるかを調べました。7日間にわたってアセチルテトラペプチド-3を投薬したところ、ヒドロキシプロリンの量が35%増加したという結果が出ています。


参考:EFFECT OF ACETYL TETRAPEPTIDE-3 ON COLLAGEN SYNTHESIS BY FIBROBLASTS IN VIVO

アセチルテトラペプチド-3が毛髪へどのような影響を及ぼすか研究したデータもご紹介しましょう。ミノキシジルとアセチルテトラペプチド-3のどちらがより高い効果を持っているかを調べた実験です。

被験者のうち15人にはアセチルテトラペプチド-3を、27人にはミノキシジルを、27人には何も投薬せずにそれぞれが毛包の成長にどのような影響があるかが調べられました。
7日間にわたって毛包の成長を観察したところ、何も投薬しなかった人たちを0%とするとミノキシジルを使った人たちでは+52%、アセチルテトラペプチド-3を使った人たちでは+156%も毛包の成長が活性化されたそうです。

参考:EFFECT OF ACETYL TETRAPEPTIDE-3 ON HUMAN HAIR FOLLICLES EX VIVO COMPARATIVE STUDY

この他に、休止期にある毛髪がキャピキシルによってどれくらい減ったかを調べた研究もあります。
何も投与しないプラセボを使用する人とキャピキシルを使用する人にわけ、30人の被験者にそれぞれ使用し、4か月後に毛髪の状態を調べました。
成長期/休止期にある毛髪の比率を調べた結果、プラセボ群では比率が33%減り、キャピキシル群では46%増えたという結果になりました。比率が増えたということは、休止期にある毛髪が減少したことを意味します。


参考:CLINICAL STUDY ON HAIR LOSS

本当にキャピキシルで髪の毛が増えるのか

以上の研究データを見ていると、髪の毛が生えそうなイメージを持つかもしれません。
コラーゲンはたしかに毛髪に関係のある成分として知られています。
しかしコラーゲンならどれでもいいわけではなく、いくつかある種類のうち毛髪に関係があるのは17型コラーゲン だとされています。
Lucas Meyer Cosmetics社の行った実験では、17型コラーゲンが増えたのかどうかはわかりません。

では毛包の成長度合いを見た実験はどうでしょうか。
ミノキシジルで+52%、アセチルテトラペプチド-3で+156%も毛包の働きが活性化したデータを見ても、残念ながらミノキシジルよりもキャピキシルの効果が高いとは言えません。
この結果を見て「キャピキシルはミノキシジルの3倍強い効果がある」と言われている方もいます。
たしかに毛包は毛髪の成長を促す働きを持っていますが、あくまでこの結果は毛包が活性化されたことを表すだけであり、毛髪の成長が促進されたことを示すものではありません。

休止期の割合が減ったという結果も同様です。
休止期にある毛髪が減れば髪の毛の成長が期待できる、というのは理にかなっていますが、こちらも実際にどれだけ毛髪の長さや量が増えたかは明確になっていません。

効果が実証されている医薬品として販売されていないことからも、キャピキシルが十分な発毛効果を持っていると断言するのは難しいと考えられます。
毛髪の健康を保つ働きは否定できませんが、AGAガイドラインにキャピキシルの名前が記載されていないことからも、発毛効果が実証されていないのは明らかでしょう。

キャピキシルに副作用はあるのか

Lucas Meyer Cosmetics社からはキャピキシルの副作用について、現在のところ何も発表されておりません。
考えられる副作用としては、ローションが肌に合わずかゆみや赤みを起こすことくらいでしょう。

まとめ

キャピキシルはカナダで開発された育毛成分です。
一部ではミノキシジルの3倍効く成分として注目を浴びていますが、残念ながらキャピキシルは医薬品ではなく発毛効果に対する十分なデータがありません。
そのためキャピキシルに毛髪の量や密度を増やす効果は期待できないと考えられます。
AGA治療をしっかりと行いたいのであれば、やはりフィナステリドやデュタステリドなど、発毛効果が実証されている医薬品で治療に取り組むことが大切です。

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