「抜け毛が最近増えた気がする」という声が多く聞こえてくる秋。食欲や芸術の秋とも言われる季節ですが、秋は抜け毛の季節と言われることも少なくありません。なぜ秋になると抜け毛が増えてしまう方が多いのでしょうか。
秋に抜け毛が増えるのがはたして本当なのか、なぜ抜け毛が増えてしまうのかなどを詳しく解説します。秋の抜け毛を対策する方法もご紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
髪の毛は健康な方でも毎日抜けている
髪の毛がはらりと抜け落ちていくと「また抜けてしまった」「このまま薄毛になってしまうのではないだろうか」と心配される方も多いです。しかし髪の毛は、健康な方でも毎日抜け続けています。本数にして約100本ほどです。薄毛の体質ではない方でも、これだけの髪の毛が毎日抜けています。
ところで、頭皮全体の髪の毛の本数が全部で何本あるのかご存知でしょうか。驚くことに私たちの頭皮には、約10万本もの髪の毛が生えています。1日に100本も髪の毛が抜けていると聞くと、とても多く感じてしまうことでしょう。しかし10万本あるうちの100本なので、1日に抜けているのはわずか髪の毛全体のわずか0.1%に過ぎません。
秋に抜け毛が多くなる理由
健康な方でも、1日に抜ける髪の毛の本数が200~300本にまで増えてしまう時期があります。それが秋です。秋になると、普段は100本程度しか抜けないはずの髪の毛が2倍も3倍も抜けてしまいます。
あまりに抜け毛が増えるので、抜け落ちた髪の毛を眺めて不安になってしまう方はとても多いでしょう。いったいなぜ、秋になるとこれほどにまで抜け毛が増えてしまうのでしょうか。
もともと秋は動物の換毛期にあたる
秋はもともと、毛が抜けやすい時期です。換毛期といって、変えが生え変わる時期に相当します。犬や猫に毛が生え変わる時期があるように、人間にも毛が抜けやすい時期があるのです。毛の生え変わりには、毛周期が大きく関係しています。
私たちの毛は、成長期、退行期、休止期と3つのサイクルを周りながら抜けたり生えたりを繰り返すことが特徴です。成長期は髪の毛が太く長く育つ時期、退行期は成長を止めて抜ける準備をする時期、休止期は抜け落ちていく時期にあたります。季節によって成長期や休止期にある髪の毛の割合が異なるため、どうしても抜け毛が増えやすい季節とそうでない季節とがあるものです。
一般に休止期が多くなると言われているのは7月です。休止期が始まってから終わるまで約3か月かかるため、7月から10月頃まではとくに抜け毛が増えてしまいます。ちょうど休止期に入る髪の毛が増える時期が秋にあたるので、秋になると抜け毛が増えるのです。
夏のダメージが現れやすい
紫外線がダメージを与えるのはお肌だけではありません。髪の毛や頭皮も相当なダメージを受けているのです。紫外線によるダメージを受けた頭皮は、光老化により固くなってしまうと言われています。頭皮が固くなることで毛根のはたらきが弱くなり、髪の毛の成長にも影響が出てしまうと考えられています。
夏は紫外線が強く降り注ぐ時期ですので、どうしても秋は紫外線ダメージが現れやすい時期なのです。紫外線が落ち着くのは10月頃からですので、秋は夏のダメージも加わって紫外線ダメージの影響が出やすい時期だと言われています。
生活習慣の乱れ
秋は気温や日照時間の変化から、生活習慣が乱れやすい季節です。急に寒くなる日もあるので、体調を崩しやすい季節とも言えるでしょう。生活環境が変わるため、さまざまな影響が体に現れてしまいます。その1つが抜け毛です。睡眠時間が不足したりちょっとした環境の変化がストレスになったりして、髪の毛の成長にも影響が出やすくなります。
ホルモンや自律神経バランスの乱れ
秋は体内のバランスが乱れやすい時期でもあります。日照時間が短くなってくると、ホルモンや自律神経のバランスが崩れやすくなるため、髪の毛への影響も出てしまうのです。男性ホルモンや女性ホルモンは、髪の毛の成長と深く関係しています。そのためホルモンバランスの乱れによって抜け毛が増えてしまうことは十分に考えられるでしょう。自律神経のバランスも髪の毛にとっては大切なものです。バランスが乱れることで血流に影響が出て、抜け毛が増えてしまう可能性があります。
秋の抜け毛を予防する方法
秋になると抜け毛が増えるとは分かっていても、普段の2倍から3倍も髪の毛が抜けていくのは耐え難いものがあります。秋は換毛期にあたるので抜け毛を普段と同じくらいに保つことは難しいですが、できる限りの対策はしておきたいところです。普段の生活でできる秋の抜け毛対策を確認しておきましょう。
日頃から紫外線対策をしておく
紫外線対策は、私たちの生活の中で簡単に取り組めることです。日頃から帽子をかぶったり日焼け止めスプレーを使ったりして、紫外線対策を行いましょう。紫外線は抜け毛を増やすだけでなく、髪の毛そのものにもダメージを与えてパサつきやうねりを起こします。髪の毛の健康を守るためにも紫外線対策は重要です。
なお、帽子をかぶると薄毛が進行すると言われることもありますが、こちらに根拠はありません。たしかに帽子の中が蒸れた状態が続くと髪の毛には良くありませんが、薄毛を直接進行させることはないと言えます。むしろ紫外線に当たることのほうが悪影響ですので、帽子をしっかり活用しましょう。
生活習慣に気をつける
秋は日照時間が短くなったり気温が下がったりと体調に変化が起きやすいものです。普段よりも日光を浴びるように意識をすると、体調変化が起きにくいでしょう。体調を崩すと食事が十分に摂れず栄養不足となることもありますので、体を冷やさないようにすることも大切です。
秋の抜け毛はいつまで続くのか
休止期に入る髪の毛が7月にピークを迎え、そこから約3か月は休止期が続きます。そのため7月から10月頃にかけては秋の抜け毛が増えやすい時期だと言えるでしょう。ピークは7月から10月頃ですが、11月や12月まで抜け毛が続くことも少なくありません。そのため秋の抜け毛は11月から12月頃まで続くと言われることが多いです。この時期は普段なら1日に約100本しか抜けない髪の毛が200本も300本も抜けてしまいます。
明らかに抜け毛の量が増えるので「このまま薄毛になってしまうかも」と心配されることでしょう。しかし秋は人間ならどなたでも抜け毛が増える時期です。そのため抜け毛の量が増えても気にしすぎることはありません。
秋は抜け毛が増えやすい時期だけどこんな抜け毛には注意
抜け毛が増える原因として、AGA(男性型脱毛症)があります。AGAになると季節関係なく、抜け毛が増えていくものです。あまりに抜け毛が増えると、たとえ秋が他の人も抜け毛が増えやすい時期であるとはいえ、不安になってしまいます。抜け毛がAGAによるものなのか、それとも季節によるものなのか区別するためにはどうしたら良いのでしょう。
簡単な方法が抜けた毛の状態を観察する方法です。健康な髪の毛であれば、抜けた毛の根本には丸みがあります。また毛先まで太くなっていることが特徴です。一方でAGAの方の抜け毛は根本に丸みがなく、毛先がやせ細っています。AGAの可能性がある場合は、早めにクリニックを受診して治療を始めましょう。
まとめ
秋に抜け毛が増えるのは本当です。休止期に入る髪の毛が7月頃から増えてくるため、抜け毛が増えてしまうのです。通常であれば抜け毛の量は1日に100本程度ですが、秋になると200~300本にまで増えてしまいます。
抜け毛をできるだけ抑えるためにも紫外線対策をしたり生活習慣を整えたりしましょう。秋は誰でも抜け毛が増える時期なので、気にしすぎることはありません。しかし抜け毛の毛先が細くなっていたり、根本に丸みがなかったりする場合はAGAの可能性があります。この場合は早めの治療が大切です。