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ノコギリヤシ の育毛効果

薄毛に悩み、育毛サプリを試そうとお考えの方は「ノコギリヤシ」という成分を耳にした事があるかと思います。ノコギリヤシは多くの育毛サプリに含まれていますが、果たして本当に効果はあるのでしょうか?

今回はノコギリヤシで育毛しようとしている方向けに、ノコギリヤシの効果や摂取前に知って欲しい副作用、摂取時のワンポイントアドバイスなどをご紹介していきます。

育毛サプリを試すにも、正しい知識を持って始める事が大切です。

1.ノコギリヤシとは

ノコギリヤシはヤシ科のハーブで、葉の形がノコギリのようにギザギザしていることが名前の由来となっています。
冬に2~3㎝ほどの果実をつけ、この果実のエキスは主に「前立腺肥大症」に改善効果があると言われています。
ヨーロッパではノコギリヤシエキスは医薬品として認可されています。

こうしてノコギリヤシが「前立腺肥大症」に効くイメージは徐々に強くなっていき、近年では「薄毛予防」の働きもすると考えられるようになってきました。今では多くの育毛サプリにノコギリヤシが含まれており、市販品としてノコギリヤシの錠剤やカプセル、お茶、乾燥フルーツなどが販売されています。

当初は前立腺肥大症に対するイメージが強かったノコギリヤシですが、何故これほど育毛に良いと言われるようになったのでしょうか?その理由は、どちらの症状にも共通した原因があるためでしょう。

前立腺肥大症の原因は男性ホルモンのバランスにあると考えられていて、薄毛の原因についてもそれと同じ事が言えます。
ノコギリヤシが男性ホルモンの分泌量を調整する働きをする説に基づき、一見何の関連性もないような薄毛を共に改善してくれると言われているのです。

2.ノコギリヤシの育毛効果

ノコギリヤシの効果については謎に包まれている部分が多いのですが、本当に前立腺肥大症を改善するのであれば、抜け毛予防にも効果を発揮する可能性があると言えます。
抜け毛予防のメカニズムは男性ホルモンに働きかける事なのですが、少しややこしい話になりますので、先に抜け毛と男性ホルモンの関係性を確認しておきましょう。

抜け毛の原因は、男性ホルモンであるテストステロンが5αリダクターゼという変換酵素と結合してできる「ジヒドロテストステロン(DHT)」にあります。
DHTは髪を作る毛母細胞の働きを弱め、抜け毛を増やすのです。

5αリダクターゼにはⅠ型5αリダクターゼ、Ⅱ型5αリダクターゼ、Ⅲ型5αリダクターゼの3種類があり、そのうちAGAに強く関係するのはⅠ型とⅡ型です。

このように、テストステロンと5αリダクターゼが結合してできた「DHT」が抜け毛を引き起こします。

さて、話を戻してノコギリヤシの薄毛予防についてご説明しますと、ノコギリヤシはI型、II型の5aリダクターゼの働きを抑制する効果があると考えられています。薄毛に関係する5aリダクターゼを抑制すると結果的にDHTの産生も抑えられ、薄毛予防に繋がります。このことから、ノコギリヤシは薄毛予防に効果があるかもしれないと注目されているのです。

また、薄毛予防でノコギリヤシを摂取する方には、亜鉛の同時摂取が推奨されています。
亜鉛には髪を作る毛母細胞を活性化させる働きがありますので、「ノコギリヤシで薄毛予防しつつ亜鉛で育毛をサポートすれば相乗効果が期待できる」といった考えから同時摂取が勧められているようです。
実際、薄毛改善を謳ったサプリメントには亜鉛とノコギリヤシが配合された物が多く存在します。
同時摂取で薄毛が悪化することはないので、相乗効果を狙って亜鉛、ノコギリヤシの両方が配合されたサプリを利用しても大きな問題はないでしょう。

(関連記事:5αリダクターゼとジヒドロテストステロンの関係性は?

3.ノコギリヤシの副作用

ノコギリヤシは安全性が高く、多くの方が利用しています。しかし、全く副作用が無いという訳ではなく、以下のような軽度の副作用が出る可能性もあります。

ノコギリヤシの副作用
 胃の不調
 アレルギー症状
 過敏症
 便秘
 目眩
 吐き気

ノコギリヤシは同じく5aリダクターゼの働きを抑制する「フィナステリド」よりも効果・副作用が弱いため、フィナステリドで副作用の出た方がノコギリヤシを利用するケースも多々あります。

ただし、ノコギリヤシを利用しても副作用のリスクはありますので、ノコギリヤシの推奨摂取量「1日300mgほど」を目安に摂取することを心掛けましょう。

4.ノコギリヤシの効果に対する医学的根拠はない?

いくつかの小規模な研究でノコギリヤシは前立腺肥大症に効果があると示唆されていますが、いまだに医学的根拠はありません。以下では、NIHやNCCIHが助成したノコギリヤシの効果に関する試験についてご紹介します。

中程度から重度の前立腺肥大症患者を対象とした試験

2006年にNIHが助成した試験では、中程度から重度の前立腺肥大症患者へ毎日320mgのノコギリヤシを1年間投与し続けた結果、プラセボ(偽薬)以上に改善される事はありませんでした。

高齢男性369人を対象とした試験

2011年にNCCIHが共同で行った試験では、高齢男性369人にノコギリヤシを最大で1日の推奨摂取量の3倍を投与して経過観察しました。すると、上記でご説明した2006年の試験と同様にプラセボ以上の改善は見られなかったという結果になりました。

先ほどご説明したフィナステリドも、もともと前立腺肥大症などの緩和に使われていたのですが、その副作用で髪が増える事からAGA治療にも用いられるようになりました。フィナステリドについては前立腺肥大症に一定の効果があるとの試験結果があり、フィナステリドを含んだ「プロペシア」がAGA治療の内服薬として初めて日本で承認されました。

しかし、ノコギリヤシについては前立腺肥大症に有効というデータがとれていないのが現状です。ノコギリヤシが薄毛に良いと言われる理由は「前立腺肥大症を緩和する事が前提」になっていますので、プロペシアと同様にノコギリヤシで薄毛予防ができるとは断言できないのです。

5.まとめ

ノコギリヤシの育毛効果は立証されていませんが、頻繁に副作用が出ることもないので試してみる分には問題ないでしょう。

人によってはプラシーボ効果を得られる可能性もありますが、長期間ノコギリヤシを使うよりは専門クリニックを受診して薄毛治療を受けた方が高い効果を得られるでしょう。

薄毛に良い食品やサプリの摂取、生活習慣の改善は健康面からみても大切ですが、最も育毛効果があるのは医学的エビデンスに基づいた治療を行うことなのです。

参考資料:
ノコギリヤシ | 海外の情報 | 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業

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