髪の毛を健康に保つためにも、頭皮の状態は健康に保っておきたいものです。中には頭皮トラブルが影響して脱毛が起きてしまうケースもあります。今回は薄毛の原因となりやすい頭皮トラブルにはどのようなものがあるのか、どうすればトラブルを防げるのかなどをご紹介していきます。また脱毛が見られた際の正しい対処方法も紹介していますので、ぜひ参考にご覧ください。
薄毛の原因になる頭皮トラブル とは?
頭皮トラブルは赤みやかゆみを伴うだけでなく、時として脱毛を引き起こすこともあります。頻度としてはそこまで高いわけではありませんが、頭皮トラブルが原因となる脱毛が起こらないとも限りません。まずは脱毛の原因となりうる、いくつかの頭皮トラブルについてご紹介します。
脂漏性皮膚炎
皮脂分泌が過剰な部位にマラセチア菌という真菌が繁殖することと関係があります。頭皮が赤くなったり、うろこ状のフケが出たりなどの症状が代表的です。マラセチア菌はもともと皮膚に存在している常在菌なのですが、なんからの理由で増殖するか、もしくはマラセシア菌に対して過敏反応を起こせば脂漏性皮膚炎を発症しやすくなります。脂漏性皮膚炎と脱毛の関係には直接の関係はありませんが、脂漏性皮膚炎があまりに高度になると一時的な脱毛症を引き起こす可能性はあります。
頭部白癬
水虫の原因ともなる白癬菌が頭皮に感染することで起こる頭皮トラブルです。別名「しらくも」と呼ばれることもあります。かゆみはあまり起こらないことが多く、大人よりも子供に発症しやすいことが特徴です。頭皮白癬を発症すると楕円状の脱毛が見られます。髪の毛全体が薄くなるのではなく、部分的な脱毛が見られるため一般的な男性型脱毛症との区別はしやすいでしょう。
毛包炎
毛包に炎症が起きたものを毛包炎と呼びます。毛包とは毛根を包んでいるもので、髪の毛を頭皮に固定する働きを持っているものです。黄色ブドウ球菌の感染により起こり、ニキビのような小さなできものができることもあれば、膿がたまって大きな赤いできもののようになることもあります。毛包炎になると必ず脱毛があるわけではありませんが、嚢胞にまで至ってしまうと中には症状が出ている周辺の髪の毛が抜けてしまう例があります。円形脱毛症との区別が問題となります。
接触皮膚炎
シャンプーやコンディショナーなどが原因となって、頭皮にトラブルが起きるものです。カラーリング剤やパーマ剤などが原因となることもあります。かゆみや赤み、フケが起こるだけで済むケースもありますが、中には髪の毛が全体的に抜けてしまった例も報告されています。接触皮膚炎の原因となったものを使わないようにすれば、脱毛が見られた1か月後あたりから髪の毛が生え始めるのが特徴です。
参考資料:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch1959/33/2/33_2_137/_pdf
男性の脱毛のほとんどはホルモンが影響している
ここまで頭皮トラブルによって脱毛が起こる例をご紹介してきました。ここまで読むと、もしかしたら自分も頭皮トラブルが原因で薄毛になっているのでは、と思われるかもしれません。局所的な脱毛が起きていたり、明らかな所見があったりする場合であれば頭皮トラブルが原因の可能性もあります。しかし男性の脱毛は、原因のほとんどがAGA(男性型脱毛症)であることを忘れてはいけません。
男性ホルモンが髪の毛の成長期を短縮させる
男性の薄毛は、男性ホルモンの1つであるジヒドロテストステロン(DHT)が原因であることがわかっています。ジヒドロテストステロンが髪の毛の成長サイクルを狂わせてしまうのです。髪の毛は毛周期と呼ばれる一定のサイクルを回りながら成長したり抜けたりを繰り返しています。
成長期になると太く長く育っていき、退行期を経て休止期にはいると抜けていくのが特徴です。ジヒドロテストステロンは成長期の期間を短くしてしまうため、髪の毛が十分に成長できないまま退行期や休止期に進んでしまいます。その結果、成長しきれなかった髪の毛が増えていき、髪の毛のボリュームが少なくなってしまうのです。薄毛に悩む男性のほとんどは、このジヒドロテストステロンが原因となっています。
AGAのなりやすさは遺伝によるものが大きい
薄毛になると「食生活が悪かったのかな?」「ヘアカラーをしすぎたのかな?」と過去の自分を振り返って何か理由を探し求めようとする方も少なくありません。しかしAGAは、多くが遺伝によるものだと考えられています。つまり食生活や生活スタイルに関係なく、AGAになりやすいかどうかは、生まれたときから決まっているのです。
AGAの原因となるジヒドロテストステロンは、テストステロンというまた別の男性ホルモンに5αリダクターゼ(5α還元酵素)が働くことで作られます。作られたジヒドロテストステロンがアンドロゲンレセプターと呼ばれる受容体に結合すると、ジヒドロテストステロンによって成長期の期間が短くなっていくのです。
5αリダクターゼの量が多かったり、働きが強かったりする方はジヒドロテストステロンが作られやすくなります。またアンドロゲンレセプターとジヒドロテストステロンが結合しやすい方もジヒドロテストステロンの働きが出やすいです。5αリダクターゼの働きやアンドロゲンレセプターの感受性は遺伝によって決まるところが大きいため、AGAも生まれながらの体質によって起こることが多くなっています。
頭皮トラブルの対策・予防方法
男性の薄毛は多くが男性ホルモンによる影響であるとはいえ、頭皮トラブルによる脱毛が起こらないとも限りません。薄毛にならなくても、頭皮に赤みやかゆみがあるのは気持ちの良いものとは言えないでしょう。頭皮トラブルが起きないように対策をしておくことも大切です。
脂質を摂取しすぎない
脂っこい食事を続けていると、皮脂の分泌が盛んになります。皮脂量が増えるとマラセチア菌などが繁殖して脂漏性皮膚炎を起こしやすくなるのです。皮脂量が多いと感じる方は、ビタミンB2を摂取してみるのも良いでしょう。ビタミンは皮脂量を調節してくれる働きがあります。
頭皮に合わないシャンプーを使わない
シャンプーに限らずリンスやコンディショナーも同様です。肌に合う化粧品と合わない化粧品があるように、シャンプーも合わないものは合いません。頭皮のかゆみや赤みが出たら、ムリに使用を続けないことが大切です。
頭皮が荒れやすい方は抗真菌剤入りのシャンプーを
フケやかゆみ、赤みが普段から出やすいのであれば、ミコナゾールなどの抗真菌剤が配合されたシャンプーをおすすめします。抗真菌剤が真菌の増殖を抑えてくれるので、頭皮トラブルの予防にも治療にも使えることが特徴です。
髪の毛を洗うときに爪を立てない
しっかり頭皮を洗おうと力を入れすぎると、うっかり爪で頭皮を傷つける可能性があります。傷口から菌や真菌が繁殖して頭皮トラブルを起こすことも考えられるため、爪を立てずに優しく洗うよう心がけましょう。
まとめ
脂漏性皮膚炎や頭皮白癬など、頭皮トラブルが薄毛につながる可能性があります。食生活の改善や抗真菌剤を配合したシャンプーなどで対策してみてください。とはいえ頭皮トラブルで薄毛になっている方よりも、男性ホルモンの影響でなっている方のほうが圧倒的に多いのが現状です。AGAの場合はシャンプーや食生活で改善するのは難しいため、男性ホルモンの生成を抑えたり、成長期を正常に戻したりするお薬を使って治療をしていくことになります。AGAは早めの治療が肝心ですので、薄毛が気になり始めたらなるべく早めに治療を始めましょう。