ボリュームが気になる髪の毛をなんとかしようと、まずは育毛シャンプーを手に取る方は多いです。「これで髪の毛が増えたら…」と期待して使っているその育毛シャンプー。はたして本当に効果があるのか気にしたことはありますか?
今回は育毛シャンプーで髪の毛が増えるのか、育毛シャンプーで期待できる本当の効果は何なのかをご説明していきます。
育毛シャンプーで髪の毛は増えない!その理由とは?
タイトルにもある通り、育毛シャンプーを使っても髪の毛が増えることはありません。「育毛」で髪の毛を生やすことはできないからです。
そもそも「育毛」とは主に「髪の毛が抜けるのを防ぐ」という意味で使われており「髪の毛を生やす」ものではありません。
つまり髪の毛を生やしたい、増やしたいと考えるなら必然的に選ぶべきものは育毛と名のつくものではなく、発毛剤であるということになります。
育毛シャンプーも育毛剤も、髪の毛を増やす効果は期待できないのです。
もしお手元に育毛シャンプーがあるなら、一度パッケージをよく見てみてください。どこにも「髪の毛が生える」「増える」といったフレーズは書かれていないはずです。
この育毛と発毛の違いを知っているだけでも、育毛シャンプーでは髪の毛が増えないことは予想できますよね。
また育毛剤は医薬部外品、発毛剤は医薬品として販売されているのも大きな違いでしょう。医薬品は気になる症状を治療する効果がありますが、医薬部外品は症状の予防に使われるものがほとんどです。
育毛シャンプーでも頭皮へ良い影響はある!
ここまで育毛シャンプーには髪の毛を生やす効果はないと言ってきましたが、使う意味がまったくないということではありません。
育毛シャンプーでも使うことで頭皮の環境を整えることができますよ。
髪の毛にハリとコシを与える
多くの育毛シャンプーには、髪の毛にボリュームを持たせる成分が配合されています。
同じ量で同じ長さの髪の毛でも、ぺっちゃんこの状態としっかりと立っている状態とでは見た目のボリュームが大きく変わりますよね。
育毛シャンプーで実際に髪の毛を増やすことはできませんが、髪の毛にハリとコシを与えることでボリューム感を出すことが可能です。
そのため手っ取り早く見た目を少しでも変えたい方や、髪の毛が寝やすい方は育毛シャンプーの使用が向いているでしょう。
髪の毛と頭皮を健康に保つ
髪の毛の健康を意識するのなら、土台となる頭皮にも気を使わなければなりません。いわゆるスカルプケアです。
育毛シャンプーは頭皮の環境を整える成分もほとんどの商品で配合されています。頭皮や髪の毛に適度な潤いを与えてくれるもの、健やかに整えてくれるものなどがメジャーです。
頭皮が適度に保湿されると分泌される皮脂の量も減るので、髪の毛のボリュームがなくなるのを防ぐ効果も期待できますね。
頭皮の荒れを防ぐ
すべての育毛シャンプーに該当するわけではありませんが、中には頭皮の荒れを防ぐ成分や、殺菌成分が配合された育毛シャンプーもあります。
頭皮が荒れたり、かゆみが出たりすると、ついつい掻いてしまいますよね。これはフケができる原因にもなりますし、健やかな髪の毛が育つ妨げにもなるため、できるだけ防ぎたいものです。
育毛シャンプーに含まれている頭皮に良い成分
育毛シャンプーには販売しているメーカーによって、さまざまな成分が使用されています。
何十種類もある成分のうち、今回は代表的なものについて見ていきましょう。それぞれの成分の働きも解説を入れていますので、参考にしてみてください。
グリチルリチン酸
炎症を抑える成分として配合されています。頭皮が荒れやすい方、赤みやかゆみが出やすい方に向いている成分です。甘草というハーブから抽出した成分で、育毛シャンプー以外にも塗り薬やボディーソープに使われることもあります。
イソプロピルメチルフェノール
殺菌効果を期待して配合されている成分です。頭皮環境を健康に保つサポートをし、健やかな毛髪作りを支えます。殺菌効果により頭皮のニオイ対策としても活躍する成分です。殺菌成分の中では有名なもので、塗り薬に配合されることもあります。
イチョウ葉エキス
何千年という歴史を持つイチョウ葉エキスは、人々の健康を守るためにさまざまな分野で活用されている成分です。育毛シャンプーには、血行を良くする働きを期待して配合されています。
センブリエキス
あの苦味が非常に強いお茶としても有名なセンブリエキスは、血行をよくする働きがあります。苦味成分が血管を拡張するため、血液が流れやすくなるのです。また毛髪を成長させる毛母細胞の働きを活性化させる効果があることもわかっています。
t-フラバノン
西洋オトギリ草から抽出した成分です。毛乳頭細胞に働きかけて、脱毛を促進させるTGF-βという物質の働きを抑えることがわかっています。
アデノシン
育毛シャンプーや育毛剤など多くの商品に配合されているアデノシンは、頭皮の血行を促進する他、育毛に関わっている物質を増やす働きがある成分です。育毛成分としてはとてもメジャーな成分であると言えます。
ビタミンE
血行をよくするビタミンとして有名なのがビタミンEです。美容を目的とした医薬品に配合されていることもあります。
頭皮にあまり良くない成分
良い成分があれば、残念ながらあまり良くないものもあります。一概に悪いというわけではありませんが、人によっては合わないこともある成分です。参考までにご覧ください。
ラウリル硫酸ナトリウム
他にラウリル硫酸カリウムやラウレス硫酸ナトリウムなども該当します。
石油系の合成界面活性剤はシャンプーの泡立ちを良くし、頭皮をスッキリ洗い上げてくれる一方で、洗浄力が強いあまり頭皮がカサついたり毛髪の潤いに影響が出たりする可能性が知られています。頭皮が乾燥しやすい方は避けた方が良いでしょう。
シリコン成分
こちらも必ず良くないものではありませんが、人によってシリコン成分が配合されたシャンプーが頭皮に合わない方もいます。
シリコン成分は髪の毛をコーティングして手触りを良くしてくれるものの、シリコン成分が毛穴に詰まってしまうこともあるのです。
シリコン成分が合わない方はジメチコンやシリカ、メチコンなどが成分に含まれるものは避けた方が良いでしょう。
石鹸系の成分
いわゆる石鹸シャンプーは一見すると頭皮や毛髪に優しそうなイメージがありますが、他のシャンプーと比べると脱脂力がとても強いため、薄毛が気になる方にはあまりおすすめできません。
必要な皮脂まで取り除かれてしまうので、頭皮が皮脂不足だと勘違いし、過剰に皮脂を分泌してしまいます。
また洗い上がりがパサつきやすいのも石鹸シャンプーの特徴です。脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウム、純石けんといった成分が入っているものは注意しましょう。
まとめ
育毛シャンプーは頭皮や毛髪を健康に保ち、髪の毛が成長しやすい状態を作る手助けをすることはできますが、育毛シャンプーそのものに髪の毛を増やす効果はありません。「もう少しボリュームを出したい」「ハリやコシが欲しい」という方向けの商品です。
すでに髪の毛が抜けてしまった部位から生やしたいのなら、育毛シャンプーや育毛剤ではなく発毛剤を使用しましょう。髪の毛を増やしたり生やしたりする効果があるのは発毛剤だけです。
当院にご相談いただければ、患者様のお悩み、症状に合わせて外用薬、内服薬をはじめとした治療をご提案させていただきます。