はなふさ皮膚科

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喫煙と薄毛の関係

「タバコを吸うと血管が収縮するから頭皮に悪い」
「血行が悪くなって髪の毛が細くなる」

毛髪のボリュームを気にされている方なら、一度はこれらの話を聞いたことがあるでしょう。本当に喫煙と薄毛には関係があるのでしょうか。今回は喫煙が体にどのような影響を及ぼすのか、詳しく解説していきます。

喫煙によって上昇する健康被害

一時期は男性の80%以上が喫煙していた時代もありました。しかし今は30%にも及びません。喫煙の健康被害が広く認知されてきたことから、「禁煙ブーム」や「嫌煙ブーム」が起こったのです。では具体的に、喫煙によってどのような健康被害が起こるのでしょうか。いくつか例をご紹介します。

ニコチン依存症

タバコを止めたくても止められない、それはタバコに含まれているニコチンが原因です。ニコチンが体内に入ると、ノルアドレナリンやドパミン、セロトニンなどの神経伝達物質が分泌されます。これらの物質が分泌されることで、体が多幸感や満足感を感じるのです。そのためニコチンが切れるとイライラしたり、集中力がなくなったりします。

タバコを吸えば再びノルアドレナリンなどが分泌されるため、「タバコはストレスを解消してくれる」と思ってしまうのです。喫煙者はタバコを吸ってストレス解消をしているのではなく、タバコを吸わないとストレスを感じてしまう体になっていることに気がつくべきでしょう。

がん

国立がん研究センターによりますと、がん患者のうち30%は喫煙が原因 だと考えられています。

喫煙によってがんの確率が上がってしまうことは周知の事実でしょう。タバコを吸わない方と比べると、喫煙者では明らかにがんの罹患率が上がることがわかっています。
以下にいくつか例を挙げてみましょう。いずれもタバコを吸わない方と比べて男性喫煙者のがんリスク が何倍になるかを示したものです。

・食道がん…3.4倍
・胃がん…1.5倍
・喉頭がん…5.5倍
・肺がん…4.8倍
・尿路系のがん(膀胱・腎盂・尿管)…5.4倍

最大で5倍以上もがんのリスクが上がってしまいます。喫煙は自らの寿命を縮めてしまう行為とも言えるでしょう。
参照元:たばことがん 国立がんセンター

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

喫煙によって肺が炎症を起こすことで、気管支が狭くなり少しの動作で息切れしたり体重減少や肺炎などにかかったりする疾患のことです。
肺胞の機能も低下するため、酸素がうまく交換されなくなります。日常生活の動作でもすぐに息切れを起こしてしまうため、非常にツライものです。COPDの原因の90%が喫煙だと言われています。

受動喫煙

喫煙はタバコを吸っている本人以外にも被害が及んでしまいます。
副流煙にも主流煙と同等かそれ以上の有害物質が含まれているのです。
国立がん研究センターによりますと、受動喫煙であっても肺がんのリスクが1.3倍に上がることがわかっています。
喘息持ちの方ですと受動喫煙によって発作が起きてしまうこともあるため、喫煙は周りを巻き込んで健康被害をもたらすものなのです。

喫煙は薄毛に直接関係ない

喫煙が血管を収縮させることから、「タバコを吸うと頭皮の血行が悪くなって薄毛になる」という話をよく聞きます。
血行が悪くなると毛髪に悪そう、とイメージしてしまう気持ちはわかります。しかし喫煙と薄毛に直接的な関係性はありません。

男性の薄毛の原因はAGA

日本人の約3人に1人がAGA(男性型脱毛症)です。男性が薄毛になる原因のほとんどはこのAGAだと言われています。
AGAの原因はジヒドロテストステロンという男性ホルモンです。ジヒドロテストステロンは毛髪の成長を抑制するように働くため、しっかりと成長しきれない毛髪が増えて薄毛になってしまうのです。

薄毛のなりやすさは遺伝子でほとんど決まる

生活習慣が悪いと薄毛になる、頭皮が硬いとハゲやすい。薄毛にまつわる噂話は多く存在するものの、どれも確かな情報ではありません。
ジヒドロテストステロンが体内で作られやすく、さらに発毛を抑制するように働きやすい状態の方がAGAになりやすいとわかっています。
ジヒドロテストステロンはテストステロンに5αリダクターゼ(5α還元酵素)が働くことで作られる物質です。そのため5αリダクターゼの量が多く活性が高い方はAGAになりやすいと考えられるでしょう。

ただしジヒドロテストステロンがどんなに多く作られても、AGAになることはありません。
アンドロゲンレセプターにジヒドロテストステロンが結合することではじめて、発毛を抑制するように働くのです。

これらの話をまとめると、5αリダクターゼの量が多く、アンドロゲンレセプターの感受性が高い方や量が多い方がAGAになりやすいと言えます。
これらは生活習慣で決まるものではなく、遺伝子によって決定づけられるため、AGAのなりやすさも遺伝子によってほとんど決まるのです。

血管が収縮しても薄毛にはならない

もしも喫煙による血管収縮が原因で薄毛になる、という話が本当だったとしましょう。日本人の喫煙率は年々下がってきています。
ということは薄毛に悩む方の割合も喫煙率の低下に伴って減少しているだろうと予想できますよね。しかし薄毛に悩んでクリニックを受診する方の人数はむしろ年々増えていっているのです。

2015年から2017年にかけて男性の喫煙者数は半数近くにまで減っています 。
しかしあるクリニックでは、受診者数がこの期間に3万人近くも増えている のです。
全体的に薄毛治療への関心が高まってきているのもありますが、喫煙者数が大幅に減ったにもかかわらず、薄毛で悩む方の人数は減るどころか増えています。
身近にいる喫煙者の方を見ても、長年吸っているのにフサフサな方もいれば薄毛の方もいるでしょう。このことから、喫煙による血管収縮と薄毛には関係性がないと考えられます。

喫煙とAGAの関係性はゼロではないが影響はまだ不明

喫煙によってAGAになりやすくなる、進行が早くなると確実に裏付けが取れたデータは今のところありません。
喫煙は血管を収縮させるから毛髪に“よくないかもしれない”程度のものです。とはいえ喫煙はさまざまな健康被害を私たちの体に与えることから、毛髪にもなんらかの影響を与える可能性を完全には否定できません。

ここで1つ、イタリアにおいて喫煙とAGAに関係があるかもしれない、とわかった研究があったのでご紹介しましょう。平均年齢35.6歳のAGAの患者351人を対象に生活習慣によってAGAの重症度がどれだけ上がるのかを調べました。

喫煙や家族歴、食事や飲酒、BMIがAGAに影響があるのかを調査したのです。
その結果、BMIが25以上でなおかつ喫煙もしている方は中等度から重度のAGAになるリスクが6倍も増加 しました。
この研究はもともとAGAの患者さんを対象に、生活習慣がAGAの重症度にどれくらい影響するのかを調べたものです。
そのためこのデータが示すのはAGAが重症化しやすいことであり、AGAの罹患リスクが高まるというものではありません。
喫煙だけでなく肥満という要素も加わっているため、喫煙だけがAGAに影響したかどうかを判断することもできません。

参照元:The combination of overweight and smoking increases the severity of androgenetic alopecia.

結論としては喫煙とAGAの関係性は不明です。しかし健康のことも考えると喫煙は止めておくに越したことはないでしょう。

まとめ

喫煙は血管を収縮させ、血流が悪くなるから薄毛になると言われますが、喫煙と薄毛の関係については明らかになっていません。喫煙率が低下しているのにAGAに悩む方が減らないのも、喫煙と薄毛の関係を否定しています。

薄毛の原因の大半を占めるAGAはジヒドロテストステロンが原因で起こることがわかっているため、薄毛を治療したいのであれば、治療薬を使ってしっかりケアすることが大切です。喫煙が薄毛と関係ないにせよ、がんやCOPDのリスクを上げてしまうのは明らかなため、自分と周りの健康を守るためにも喫煙はやめるべきでしょう。

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