「なんとなく髪の毛が薄くなってきた気はするけど、自分がAGAなのかわからない」
まだ自分は大丈夫と思っていると、治療の効果がもっとも出やすい時期を逃してしまうかもしれません。AGAの進行度や、O型やM型など薄毛のタイプを知っておくことは、治療を効率良く進める上で知っておいたほうが良いでしょう。
ここではAGAの進行を示す分類方法をご紹介します。ご自分がどの分類に当てはまるのか、確認してみましょう。
AGAは人によって進行の仕方やタイプが違う
男性型脱毛症をAGAと呼びますが、AGAがどのように進行するかは人それぞれ違うものです。頭頂部から来る方もいれば、生え際から来る方もいます。どれくらい薄毛が進行しているかも人によって異なるのが特徴です。
AGAの進行具合や進行パターンを体系的に示したものがハミルトン・ノーウッド(Norwood Hamilton)分類です。AGAの進行度を表すスケールにはこの他にも、セッティやブーハンナなどによって作られた分類もありますが、このハミルトン・ノーウッド分類が世界中でもっとも多く使用されています。AGAの段階を分類するために1~7のステージにわけて、詳細にAGAの進行度合いが分類していることが特徴です。
ハミルトン・ノーウッド分類の起源は、今から70年ほど前までさかのぼります。1950年代、アメリカに解剖学者として活動していた、ジェームズ・ハミルトンという名の医師がいました。ハミルトンが男性型脱毛症に悩む方を300人以上も研究した結果できたのが、ハミルトン・ノーウッド分類の前身となるハミルトン分類です。さらに1975年、ノーウッドという外科医が1,000人以上もの患者の脱毛パターンを研究し、現在使われているハミルトン・ノーウッド分類が完成しました。
ハミルトン・ノーウッド分類によってAGAのタイプが9つに分類されたため、患者がどのタイプの薄毛でどれくらい進行しているのかを、一定の基準に則って分類することが可能になったのです。
ハミルトン・ノーウッド分類でAGAの進行度合いをチェック
では実際に、ハミルトン・ノーウッド分類を見ながらAGAの進行具合について見てみましょう。
Ⅰ型
この段階ではほとんどAGAの症状が出ていません。横から見ても上から見ても、とくに何も気づかないほどです。ですがよく見てみると、ほんの少しだけ生え際のあたりがM字型に後退しているのがわかります。
Ⅱ型
Ⅰ型が少し進行したものが、このⅡ型です。Ⅰ型では薄毛が進行していることに気づくのはまだ難しいレベルでしたが、Ⅱ型になると自分が見ても第三者が見てもわかることが多いでしょう。後頭部に大きな変化はないものの、生え際の後退がM字型に進みます。
Ⅱ Vertex型
Ⅰ型やⅡ型は生え際の薄毛のみでしたが、このⅡ Vertex型では生え際に加えて頭頂部の薄毛も進行した状態です。Ⅱ型の状態から頭頂部がO型に薄くなった状態を指します。
Ⅲ型
生え際の薄毛がより進行した状態です。おでこの面積がより広くなっているのがわかるでしょう。頭頂部がO型に薄くなるまでには至りませんが、髪の毛全体のボリュームが落ちてくるのが特徴です。ハミルトン・ノーウッド分類を作ったノーウッドによれば、Ⅲ型まで進むと脱毛と診断するのに十分だと言われています。
Ⅲ Vertex型
Ⅲ型の状態から頭頂部がO型に薄くなったものがⅢ Vertex型です。O型に薄くなるとはいえ、頭部全体にはまだ薄毛が及びません。
Ⅳ型
Ⅲ型からさらに生え際の薄毛が進みます。加えて頭頂部の薄毛もO型に広がっているのが特徴です。Ⅲ Vertex型と比べると、頭頂部の薄毛がより進行した状態になります。
Ⅴ型
Ⅳ型が進むと、生え際がより頭頂部に向けて後退していきます。頭頂部の薄毛も範囲が広がり、M字型とO型がつながる手前の状態です。
Ⅵ型
生え際と頭頂部の薄毛がつながった状態を指します。M字型とO型に進んだ薄毛をわけていた髪の毛がなくなった状態です。
Ⅶ型
ハミルトン・ノーウッド分類でもっとも脱毛が進んだ状態を指します。Ⅵ型が進行することでサイドの部分にも薄毛がおよびます。首に近い部分はAGAの影響を受けにくいため、そこだけ残ることが多いです。ただし残っている髪の毛も細くなっているケースもあります。
自分がAGAかどうかを調べる方法
薄毛の分類、進行の仕方がわかったところで気になるのが、「自分がはたしてAGAなのか」ということでしょう。とくにハミルトン・ノーウッド分類のⅠ型に分類されるような初期の段階だと、自分がAGAであることに気がつかないケースも少なくありません。どうすれば薄毛が進行しているかどうかを調べられるのでしょうか。
簡単に判別する方法があるので、ぜひご自分でもチェックしてみてください。まず耳の穴がある位置から頭頂部へ向けてまっすぐにライン(頭頂線)を取ります。このラインから額がある方に向けて2cmの幅を取ります。この2cmの幅に後退した生え際が到達している場合はAGAと診断されます。
人によっては2cmではなく3cmと言われる方もいますが、一般的には2cmを基準とすることが多いです。
AGAは早めの対策が肝心
AGAはいかに早く治療を始めるかが大切です。これは何も不安を煽っているわけではありません。早く治療しておいた方が、効果が出やすく、かつ簡単な治療で効果が出ることがわかっているからです。
AGAの治療は若いうちの方が効果は出やすい
日本人903名を対象に、AGAの治療薬であるフィナステリドを投与した研究があります。5年間にわたってフィナステリドの効果を観察したのです。この研究の対象となった10代から60代の患者を見てわかったことがありました。それは41歳以上の方よりも18~41歳に該当する方の方が、フィナステリドでの治療効果が出やすかったのです。年齢が上がるほどAGAが進行度合いも上がる点も関係していると考えられますが、若いほど毛包の毛周期が改善しやすいことが関係しています。
ハミルトン・ノーウッド分類でⅣ型以上になると治療効果が下がる
先ほどご紹介したハミルトン・ノーウッド分類のうち、Ⅰ~Ⅲ型の方であればAGAの治療効果が出やすいと言われています。上記と同じ研究でハミルトン・ノーウッド分類の進行具合とAGAの改善傾向を観察したところ、分類が進んでいる方ほど治療効果が乏しかったのです。これはAGAが進行するほど毛周期が正常に戻りにくくなることが関係しています。
髪の毛は成長期、退行期、休止期のサイクルを回りながら生えたり抜けたりを繰り返していくものです。AGAを発症している方は成長期の期間が短くなるため、髪の毛がしっかり成長できません。そのため細く短いが増えてしまうのです。研究に用いられたフィナステリドは、AGAを進行させるジヒドロテストステロンの生成を抑えることで成長期を正常な期間保てるように戻していきます。
しかしAGAが進行していくと、フィナステリドを服用しても成長期の期間が元に戻りづらくなってしまうのです。毛包の働きが完全に失われた状態で治療を始めても意味がありません。そのためできるだけ早い段階で治療を始める必要があります。
まとめ
薄毛の進行度合いを客観的に判断するために、ハミルトン・ノーウッド分類が良く使われています。この分類を使うことで、自分がどの段階まで脱毛が進んでいるのかを確認することが可能です。AGAの治療は進行すればするほど治療効果が出にくくなるので、Ⅳ型に到達する前に治療を始めることが推奨されています。