亜鉛は育毛効果があると言われる一方、脱毛の原因になるとも言われています。こちらでは亜鉛の育毛効果について、実際のところをご紹介していきます。
亜鉛の働き
亜鉛は必須ミネラルの一つで、体内にある多くの酵素をつくります。皮膚や骨、肝臓、脳、筋肉などに存在し、たんぱく質の合成や遺伝子情報を伝えるDNAの転写など、重要な働きをします。体内で生成することができないため、食事やサプリ等でしっかり摂取しましょう。
亜鉛の主な働き
- 味覚を保つ
- 抗酸化作用
- 免疫力を高める
- 生殖機能を保つ
- タンパク質の代謝を促進
- ケラチンの生成をサポート
亜鉛はタンパク質の代謝を促し、髪や肌をキレイにしてくれる働きを備えます。通常の食生活を営んでいると亜鉛が不足することはまずないのですが、何らかの理由で欠乏すると薄毛の原因となりえます。
また、髪の8割を占めるタンパク質「ケラチン」を生成する元にもなります。これが、亜鉛=育毛効果がある、と言われる理由でしょうか。
とはいえ、亜鉛欠乏症の方を除いては亜鉛を摂取したら育毛効果が現れるわけではありません。育毛に直接的な効果はなく、あくまでも「ケラチン」の生成をサポートする働きをするのです。
髪をつくる栄養素は亜鉛だけではなく、タンパク質、鉄分やビタミン、カルシウムなどたくさんあります。
仮に亜鉛をだけしっかり摂っていても、育毛効果が実感できないことは多々あります。
実際のところ亜鉛の育毛効果については医学的なエビデンスは乏しく、亜鉛の摂取が薄毛に確実に効果があるかというと懐疑的にならざるをえません。
薄毛を積極的に改善する効果を期待するよりは、あくまでサポートする栄養素と言ってよいかと思います。
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亜鉛の欠乏・過剰摂取は要注意
亜鉛は過剰摂取すると体に悪影響を与えてしまうことが明らかになっています。逆に、亜鉛が不足しても亜鉛欠乏症になる恐れもあります。
亜鉛の欠乏が与える影響
味覚障害
私たちは、食べ物の味を舌にある味蕾(みらい)という器官で感じています。味蕾は一定期間で新しく生まれ変わっており、亜鉛は味蕾の細胞をつくるのに必要です。そのため、亜鉛不足すると味覚障害が起こる場合があります。
免疫力の低下
亜鉛は免疫機能が働く細胞に影響があるため、不足すると免疫機能が低下してしまいます。免疫力が低下すると、感染症にかかりやすくなる、繰り返し風邪をひく、下痢気味になる、傷が治りにくくなる等の症状が出てきます。
爪や皮膚の異常
皮膚には体内の亜鉛の約8%が存在し、爪や皮膚を健康的な状態に保っています。亜鉛が不足すると爪や皮膚に異常が現れることがあります。
脱毛
上記の「皮膚の異常」が頭皮にも現れると、毛根の周辺に炎症などが生じて脱毛へと至ります。これは、髪をつくる細胞に炎症がおよび刺激をうけることが原因と言われています。
食欲不振
消化管の働きが低下し、食欲が低下すると言われています。
また、先述した味覚障害によって食欲が低下する場合もあります。
貧血
亜鉛が不足すると赤血球の生成が十分に行わ雨、貧血になってしまうことがあります。
亜鉛の過剰摂取が与える影響
吐き気・消化器症状
大量の亜鉛を摂取してしまうと粘膜が吸収を受け付けず、吐き気を催したり、実際に嘔吐したり下痢をしまうことがあります。
銅欠乏症
亜鉛の吸収が銅の吸収を妨げ、銅欠乏症を引き起こします。銅欠乏症になると、貧血や神経障害、下痢などの症状が現れます。
胃の不調
いきなり大量の亜鉛を摂取すると、急性亜鉛中毒になり胃障害になることがあります。
ふつうに食事を摂っていれば、亜鉛を過剰摂取してしまうことは稀でしょう。現に、厚生労働省が行った同調査の中で、日本人は亜鉛不足の傾向があるという結果が報告されています。食事以外のサプリメント等で亜鉛を摂取する場合は、過剰摂取に気をつけてください。
亜鉛の摂取量はどれくらい?
上記でご説明した通り、亜鉛が不足しても、摂り過ぎても体に悪影響を及ぼします。適当な量を摂取するように心掛けましょう。
厚生労働省が定めた基準によると、男性は1日10㎎、女性は1日8mgの亜鉛を摂ることが推奨されています。
▼亜鉛の食事摂取基準(mg/日)
平均必要量 | 推奨量 | 上限量 | ||
男 性 |
18~29歳 | 8 | 10 | 40 |
30~49歳 | 8 | 10 | 45 | |
50~69歳 | 8 | 10 | 45 | |
70歳以上 | 8 | 9 | 40 | |
女性 |
18~29歳 | 6 | 8 | 35 |
30~49歳 | 6 | 8 | 35 | |
50~69歳 | 6 | 8 | 35 | |
70歳以上 | 6 | 7 | 35 |
参照元:日本人の食事摂取基準 厚生労働省
亜鉛を含む食べ物
亜鉛の推奨量を参考にし、亜鉛を含む食べ物をバランスよく取り入れるようにしましょう。
亜鉛はタンパク質の多い食べ物に含まれていることが多く、肉や魚、豆類などには特に多く含まれています。
亜鉛を多く含む食べ物
- 牡蠣
100gあたり13.2g - ビーフジャーキー
100gあたり8.8g - 煮干し
100gあたり7.2mg - 卵
100gあたり4.2mg - 牛モモ肉
100gあたり4mg - ごま
100gあたり5.9mg - チーズ
100gあたり7.3g
育毛のカギは、バランスの良い食事
人間の健康のために亜鉛を適当な量摂取することは大切です。
しかし、薄毛の改善や育毛についてはあくまでサポートする1つの栄養素にすぎません。
亜鉛以外にも、育毛に効果のあると言われている栄養素はイソフラボン、ノコギリヤシ、セレニウム、ビタミンなど様々です。
しかしながら、それらの栄養素も薄毛を改善する効果があるというよりも、栄養不良による脱毛を防いだり、あくまで毛髪の生成をサポートするといった意味合いが強いものです。
結局のところ、バランスの良い食事を取ることが意識すれば十分でしょう。
積極的な薄毛の改善には、毛の成長を抑制する活性型の5α-ジヒドロテストステロンに代謝されることを防ぐことや毛包の血行を改善させることがポイントになります。
そのためHARG治療やフィナステリド、ミノキシジルの外用などクリニックでのしっかりした治療を受けることをオススメしています。